青空鑑賞

 

 地元で一番早い櫻の木。まだ蕾は固く、あと一歩。

でも、よく頑張っている。

 

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 梅桃櫻。その間にも沈丁花の花がチラホラと。

 なにがなし嬉しいある日の、空だった。




 

 

 

 

 

 

 

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五反田行

 

 バス停。見たまんま()

 

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 バスあ来ねっしタバコは喫えねっし、やることねっし。

 

 浅野ゆう子も通らねっし()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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大工道具の歴史

 

 村松貞次郎『大工道具の歴史』は、19738月に岩波書店から刊行されていた。新書判無線仮綴じで無外装。総単色刷り截ち放し本文218頁。言わずと知れた岩波新書の一冊なのである。奥付には「岩波新書(青版)867」の表記が認められ、表紙図案の中にも同じ数字が看て取れるので、これが巻次なのかと推察された。

奥付によると著者の村松貞次郎氏は1924年生まれで、本書1973年現在では東京大学生産技術研究所助教授。建築技術史の専攻とある。


1970年代といえば、戦後高度経済成長の亢進につれ伝統的な大工道具が急速に廃れ、忘れ去られていった時期。同時に大工という職能集団に於ける秘儀である棟梁大工の規矩技法も、文字として固定されぬまま緩慢な消滅の危機に瀕していた。大工の世界だけではなく、この当時は機械化最優先の風潮に圧され、わが国のもの作り全般で同じような手業(てわざ)の衰退が音もなく進んでいたのである。

これに危機感を強めた建築系企業と工学系教育機関が産学協働で手職の世界に科学的調査の光を当て、特殊な言い回しの中に隠語符牒が散りばめられた職人の言葉を論理的な文章に、道具や技法を合理的な計測値に置き換えて記録する努力を続けていた。

村松氏もそうした伝統技法の科学的裏書きに携わった方と思しく、本書の成立背景にもそのようなムーブメントがあったような印象である。本書は当年の毎日出版文化賞を受賞しているとWikipediaにあった。

 

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 見えているのが家蔵本の書影なのだが、生憎購入当時カバ男によって帯や栞を毟り取られたまったくの裸本。そのわずか数分前、駅前書店の帳場で

「ちゃんとガッコ行ってるの?人間死ぬまで勉強よ」

なんか店主の娘(推定年齢三十八歳)にハッパかけられながら会計を済ませた時には、たしかにカバー代わりの極薄グラシン紙などが巻かれていたはず。この時代の岩波新書ならすでに帯も巻かれていただろう。若気の至り、はかないものである。

それにしても、ドラムとベースばかりがヤケにズミズム響くジュークの歌謡曲など聞きながら喫茶店のボックス席でこの本を読んでいたのは、あれはたしかに二十歳過ぎのことだった。すでに山口百恵は人妻で、キャンディーズとアグネス・ラムは追憶の彼方。そして私は中森明菜に心を奪われていたように思う。

そうそう、あの当時はどこの駅前にも小さな書店があり、必ずといってよいほど岩波文庫と新書のコーナーを設けていたものだ。それが矜持というか体面で、何年も売れずに背表紙の灼けたような新書を並べて客を威嚇する店も多かった。そして大工道具などという泥臭いテーマを奥深く探求する本書などは、さだめし人気もなかったのだろう。あの日知らずに取り寄せを注文した途端

「そこにあるのから買ってきなさいよ」

とまさかの反撃を受けた私はたじろぎ、言われるがまま棚からこの本を抜き取って件の娘氏に差し出した。こうして私は何年も店晒しにされたこの書タレ本を、中年女の説教付きで落掌することになったのだ。

 この頃から私は寒さとオンナに弱かったのである。ははは。

 

 本書に序跋の類は一切ない。目次が終わるや早速に字詰め行間きゅうきゅうの本文「第一章 道具再見」が始まり、最終章「第八章 大工道具の産地」の最終頁が奥付に向き合って終わるという、みっしりとした濃密な編集ぶり。語っても語っても語り尽くせない、今語らなければいつ語るのかという気魄が全編に満ちている。

扱われているのはノコギリやノミ、カンナといった切削系からマガリカネ、ミズハカリなどの測定系、トイシ、スミツボと卒がない。とはいえ、高度な精密化と細分化を果たしたわが国の大工道具体系の中で、新書の紙幅に収められる点数などごくごく限られたものである。文中ではそれら精選された手工具について、発展進化の系譜や機能の独自性を科学的ながらも分かり易い言葉で丁寧に考証が進められてゆく。くわうるにその道具を生み出す道具鍛冶、道具商、主人公たる大工棟梁の興味深い逸話の類。これがまた断章ほどの短いものながら、面白いこと甚だしく且つ新鮮だった。

 

 にしてもである。

 暫くぶりに繙いた本書、あまりの変貌ぶりに私は驚いた。いや書物の内容は変わらない。変わったのは私自身と社会のありよう。あらゆるものが変わってしまった今のニッポン、その中で読み進む1973年の『大工道具の歴史』は、まるでお伽草子ででもあるかのように現実感を持たない本になってしまっていた。

駅前喫茶で京子さん(ウエイトレス)のピンヒールなんかチラ見しながら頁を繰るチンピラ学生の私だったが、それでもあの頃、普請現場に響く木槌の音とか削りたての角材から漂う木香などをリアルに感じながら読み進んでいたと思う。

「三年前に家を建てたが、まあガッカリするほど大工が釘を使いやがってこっちの方がハラハラしたよ」

と苦笑いする人がいた。田んぼと勤めを掛け持ちするようなどこにでもある農家の主人でも、建築普請から木組み継ぎ手の話に及べばそれからそれへと尽きることがない。

「このベニヤは木味が良くない。安物だ」

なんか呟きながら、大工が畳よりも大きなラワン合板を撫でるように鉋掛けしているのを見たこともある。その鉋屑は紙よりも薄く、ひと撫でされた合板の表面はツヤツヤと陽を照り返し、別物のようになっていた。

少し後になるが、本書に刺激され鋸鍛冶を探して石川県の山間部に分け入った経験もある。単線ヂーゼル列車の駅を出て霙降る田舎の村を彷徨い、訪ね当てた野鍛冶(かんじゃさん)は鍛錬場の裏手にストックしてある大量の鋼材を私に見せながら

「この鋼はもう十年も晒してあるぞ」

と胸を張っていた。そのあと振舞われた渋茶、来し方を訥々と語る老いた鋸鍛冶の北陸方言、いずれも味わい深く心に残っている。

私がこの本を読んだ1970年代の末でさえ、文中に語られている建築や大工道具に対してこの程度のリアリティーは感じていられたのである。

 

 まあしかし、道具は使い手がいてこその道具である。

 コンプレッサーの音が響く建築現場でレーザー水準器を覗きながらプラモデルのようにプレカット材を組み立ててゆく現代の大工にとって、本書にあるような伝統的大工道具などまるっきりお呼びでないように見える。手回りの道具といえばまずエアネイラーや電動ドリル、せいぜい替刃式のステンレス製ノコギリと叩きノミ程度のものだろう。

 柱とも言えないような短い端材を継ぎ足しながら家の骨組みを組んでゆくには、大量の木ネジと鉄製ガゼットが必要不可欠。風が吹けばコンニャクのようにふらふら揺れる骨組みを、現代の大工は夥しい金属材で締め上げながら建て上げてゆく。自宅の普請で大工がクギを使ったと憤慨していたかの農家が目にしたら、憤慨どころか悶え死にするかもしれない世界が屈託もなく展開しているのである。

 そうして使い手のいなくなった大工道具は声もなく廃れ、忘れ去られてゆく。そんな道具が存在したこと自体、誰の記憶にも残らない。道具屋の店先で玉鋼で打たせた鋸を自慢する大工の声とか、弓なりに引いた墨糸を一か八かで弾いて陸梁の材に見事な曲線のスミツケをする棟梁の所作とか、きれいサッパリ消え去って跡形も残っていないようだ。これが2022年、現代の大工道具事情なのだろう。


今読む本書『大工道具の歴史』とは畢竟、実用される伝統工具とその使い手のありようを綴った探訪記という性格を失い、効率化や経済主導社会の進展と引き換えに我々日本人がどれほど豊かな歴史的職能文化を切り捨ててきたのかを数える「点鬼簿」に変容してしまったのである。そんな風に私には思えて仕方がなかった。


 



カバ男のブログ旧エントリー:『秋田の大工職人』 






 

 

 

 

 

 

 

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階段ばなし

 

 忙しい時にかぎって地下鉄の改札に向かうエスカレーターとエレベーターの両方が工事中。・・・階段の一択かぁ。

 何段あるんだろうコレ。

 

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 踊り場で華麗にターン!ありゃりゃまだずーっと階段続いてるよ。

 

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 もうヘトヘトだよ。一段降りるたびに膝がカクカク震えはじめた。てアレ、あっちのエスカレーター動いてんじゃん!!なになにどおゆうこと?どうなってんだコレ!!

 

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 ふうふう、ようやくホームまで降りてきた。次に乗り換えする駅、どこだったっけ。

いやいやまいったよ。とにかくどっか大きな駅を通ったら降りてみよう。エキナカで茶あでも飲み飲み移動しないことにはやってられんぜ。


あできればラーメン屋もある駅に降りよう。ふうふう

 

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  まあ、こんな日もあるか(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

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ロッピー

 

 やる事ないから何かを食うという悪癖


 カップラーメンにお湯入れて、チーズの空き箱でフタをする。

 ジャストサーイズ!!

 

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 「箱の中身は何処へ行った」って?


 聞くだけ野暮さ。んへへへへへ

 

 







 

 

 

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