一の酉が立って今年は三まであるじゃんと、気の早い連中はもう年の瀬みたいにばたばたザワザワしているという今日この頃。お得意さんに来年のカレンダーなんか持ってって「一昨日おいで」なんか笑われちゃったりね。
関東人のそそっかしさです。
午前中に来る約束のサガワが一時間も遅れての配達で、受け取った段ボールに打痕擦り傷ないのだけたしかめてテーブルに放置。手ぶらんなってアラヨーと駅に向かいます。
目指すはオカチ。おおっと、オカチったあ言わずと知れたオカチマチ。上野アメ横界隈のことジジイはそう呼んだりしてますね。
平日日中の山手線、ダークスーツに取り囲まれてワタクシ一人だけACUカモのECWCS(エクワックス)パーカーが浮いてます。1GEN.T2レプリカっつうヤツなんすけどね。
軍モノ着るならせめて1980年代以降の装備がイイですよ。時代はどんどん変わってるんですから。
オカチは駅前の老舗「吉池」でユニクロの秋冬もんを物色。あるわあるわ、よりどりみどりの釣り堀状態。なのに「チョトオ待チクタサイ」を繰り返して時間を無駄にするばかりの中国人店員を相手に、辛抱強くコミュニケーションを試みるも、挫折。何も買わずに再び電車のヒトとなる。てオイオイ、いやしくもガンマン自称してるオッサンがオカチの駅下りて、信号も渡らずアメ横に一歩も踏み入れず回れ右?いいのそれ。
外回りのホームでスカイツリー見ながらぼんやりと、スマホの調子が悪いからアキバで適当なの探そっかな、なんて思いはじめます。でも電車に乗った途端、「ワタシの古い作品が展示されてるので、来て!」と装幀工芸家からメールが来てたの思い出し、即座にアキバ取り止め。そうだそうだ、今日はそっちがメインでしたっけ。
田町を過ぎた頃、ハテ目黒区美術館はどう行ったか、と思いはじめます。
あそこの近くに電車の駅はない。つことは、バスか。あ、そうだ大井町から渋谷に行くバスが美術館の横っちょに止まるんだ。それにしよっと。
て考えてたら品川過ぎちゃってました。大井町は京浜東北線の駅、外回り山手線から京浜東北線に乗り換える最終チャンスは品川駅だった。ガビ~ん(古)!
いや待て待て、まだ望みを捨てちゃダメだ。そのバスはたしか途中で山手線と絡んでるはず。山手線の輪の内と外を頻繁に交差する区間があるんだから。
あれは・・・、んーと、青物横丁?それ京浜急行。・・・、大崎!そうだ大崎駅を出たとこにバス停があったじゃん!
「おおさき~、おおさき。湘南新宿ライン、りんかい線、埼京線は乗り換えです。高圧線とか梅雨前線には乗り換えできませ~ん」
ばっかもーん、駅員、バスも乗り換えですと放送せんかー!!
ということで残り二時間余りでなんとか目黒区美術館『村上友晴 ひかり、降りそそぐ』展を鑑賞。グサグサ刺さりましたよ。で階段上ったとこにデデーンと鎮座しているルリユウル(美術工芸装幀)作品もキッチリ舐め回すように見倒して、弱くなった午後の日の中、再びバス停に立ちました。
「五反田で茶ぁでも飲むか」なんか、バスに揺られながらぼんやり考えはじめてました。
待てよ、途中のTOCにユニクロあったよな。
トまたぞろ得意の執着心が頭をもたげます。一旦決めたら買うまであきらめない嫌な性格。ええっと、TOCだと広小路のバス停か?いやそれじゃ遠いから郵便局か。上り坂なんだよな郵便局からTOCまで。でもこの際そんなこた言ってらんない。
なんつってる内にバスは不動前を過ぎてトコトコと郵便局に着きました。下りたとこでそこはかとなく聞こえて来る、豚バラ肉が焦げる寸前のいい匂い。西五反田の老舗ラーメン屋・平和軒がダシの仕込みをしてるようですね。
ああ、いいね平和軒の醤油ラーメン。食いたいな。
ハッ!だめだめユニクロ行かなきゃ。
がんばって坂、上りましょー。
さてこそ平日の会社退け時寸前、偶然だけど一番ヒマな時間帯に行ったもんだから、ユニクロ超閑散。おかげさまで外人スタッフがぴったりマークで相手してくれて、ありがたかったですわ。
日本語の練習したかったのかな。でも中国人と違って、下手だけど話し方も文法に気を付けて喋るから、知性的。目にもケモノじみた貪婪そうなヤバイ光がなく、安心感がありましたよ。
店を出た所で見上げたら、もう夕空暗くなってます。いやはやここまで一日飲まず食わずのイヌカワか。このまんま五反田までシャトルバスん乗ってって茶ぁでも飲むか。
メシを止められてんのがキツいです。空腹が足にキてる感じかな。
結局夕方の交通渋滞でいくら待ってもシャトルバスは来ず、近場のタリーズになんとか避難してようやく今日初めてのコーヒーをひと口。
いいね、コーヒー。
暮れてゆく街の風景と、舗道を流れる勤め人の声。
あ~今日もいちんち終わってくなー。
なんとなく心と体がほぐれてくるのを感じます。
逢魔が時とかいうけれど、好きだな夕間暮れって。
ロマンチックだもん。
リンリンリン。リンリンリン!ECWCSのポッケで電話が鳴りはじめました。
出るまで鳴り続ける電話です。絶対に鳴り止まない。やれやれ(笑)。
「あーもすもす。こちら丸の内署のカバ男だがね」
なんつって苦笑いしながらタリーズを後にします。何人かOLが目を剥いてこっちを見てましたっけ。冗談だよジョーダン。
これから首都高荏原線のガード潜って氷川神社の脇を通って東急目黒線の不動前駅まで、古い山っ端の小径を歩いてゆきましょう。行った先ではマヒロが待ってるはずです。
今夜はお勧めのなんとかいう料理屋で、鴨(白色レグホンだろ)料理だのパルミジャーノ(プロセスチーズに決まってる)掛けのリゾットだのを付き合う約束。
ハテ、そんな店不動前にあったかな。つうか、そもそもユニクロの袋なんか抱えて入れんの?鴨とか出す店(笑)。
戦前の金銭出納簿。
コイツを待って出遅れたんです。飛脚、反省しろい(笑)!!