Korean Buddhist Sculpture(朝鮮の佛像)
Kang Woobang著『Korean Buddhist Sculpture(朝鮮の仏像)』の書影を公開します。
元々は『The Principles of Ancient Korean Sculpture(上代朝鮮の造像儀軌)』Ⅰ(1990)・Ⅱ(2000)として出されたものを、2005年に英語版の一冊本として抄訳出版したものです。A4程度の大判本ですね。
ネット上では複数の異なった装幀デザインが確認できますので、重版の度にアップデイトしているのかもしれません。もしくは仕向先地ごとにデザインを最適化しているとか(笑)。
一応「朝鮮」「仏像」と仮に訳していますが、実質的には南朝鮮(大韓民国)国内の石造仏がメインです。中でも慶州石窟庵内に安置されている有名な推定阿弥陀如来坐像に過半の頁を割いているのが特徴的です。
朝鮮仏教史・造像史の中で今もってミステリアスなまま特異な存在であり続けるこの仏像に興味を抱き、韓国の書店で買い込んで来た一冊でした。
この本は論文、なのかな。図版の数はそこそこですが、朝鮮総督府時代の日本側調査資料から借用した図は巧妙にトレースし直されて鮮明です。
韓国の本らしく、頁用紙に用いられている短繊維・中厚紙の風合いや表紙クロスの渋い色合いがなかなか枯淡の味わい。戦前の第一書房などに見られた東洋風洋製本の流儀をそのまま承継しているかのような、落ち着きのある装幀デザインです。
折り丁を綴じつける糸の引き込みも強く、全体わが国の製本所でも余程なコストを覚悟しないとここまでの本作りは難しそう。こうした本がなにげに書店で売られているところをみると、まだまだ韓国には紙と文字に重きを置く古い書物文化が生き続けているのでしょう。
旅でソウル周辺にいる時は、何事によらず李点馥(イ・チョンボク)氏が頼りでした。謎めいたキャラクターの韓国人です。
朝鮮語を話せないカバ男にとって唯一のコミュニケーション手段は、相手が分かりそうな簡単な日本語を連呼することと大袈裟な身振り手振り。あと指さし(笑)。
メシを食ったり電車バスに乗ったりなどはよいとして、それでは見知らぬ現地人と必要な情報をやりとりして目的を達することは不可能。コミュニケーションの限界は低かった。
そこで登場するのがこの李氏。
基本単独行動のカバ男は一人で移動しながら「今鐘路でこれから国立博物館に行きたい」とか「今夜パンソリの舞台は見られますか」「道に迷ってる。教会で神父と険悪なムード」なんて要所要所だけ携帯電話で李氏と相談しつつ、あとは自力で斬り抜けるワケです。
オッケーGoogleだSiriだとチャラいアプリケーションがどれほど宣伝したって、地元情報じゃアナログの李氏には到底太刀打ちできませんて。
まあこのオバハンのおかげで随分行動範囲も広がり、普通の旅行者じゃ見られないもんも沢山見て来られました。感謝感謝。
そんな李氏が唯一まったく無反応、情報も提供してくんなかったのが、「ソウルで一番大きな書店に行きたい。古書店でも可」という打診でした。
「ああそう」とか「調べとくわ」なんか全っ然やる気のないナマ返事を続けて夜になりそうだったので、いい加減見切りを付けて手近なビルの地下街(ソウルは万一の朝鮮戦争再開に備えて避難壕を兼ねた地下施設がとても多い)に潜り込み、見付けた書店でこの本に巡り合ったという次第。
あとから『ロンリープラネット』を読み返したら、多分そこはギョボ(教保?)書店というソウル最大の本屋だった模様。見切ってよかったですよ。
李氏、本が嫌いなのかな。
最初はそんな風に考えていた。
でもそうじゃなかった。
本屋に客を紹介しても、キックバックが望めなかったんです。彼女(笑)。
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