黑白小厨房 望郷冷茶篇


 「スゴイなプーアル茶!!!」
と思わず目を剥いてトイレで仁王立ち()

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 顔見知りの華人女性が時々「これは(製茶してから)二十年以上経っている」とか「これは新しい」「これは沢山手に入らない」とか一言添えながら持ってくる、本物の大陸プーアル茶。

 この婦人が一体どんな人生を歩んできたのか、私は知らない。だが、茶封筒に入った熟茶の玉を手渡してくれる時、いつも微かにはにかんだような照れたような、華やかさの消え残りのような表情を見せてくれる。それで私も心の強張りを寛がせることができるのである。多謝你。

 遠い遠い昔、いつか大陸の何処かで、彼女はきっと花のように優しく艶やかに微笑みながら暮らしていたのだろう。だが今、彼女にとって彼の地に帰れる場所はない。氏族に所縁の土地はあるけれど、赤い陰風が吹き荒れて人も風景もすべて奪われてしまったからだ。幸せだった思い出の縁を悉皆蹂躙され尽くし、彼女は自分の世界を失ってしまった。
 なので、この婦人は恐らくこのままずっと日本に住み続け、やがて土に還ってゆくに違いない。

 いつかその時が来るまで、私は彼女のプーアル茶を大切に飲み繋げてゆこうと心に決めている。なにしろこのお茶ったら、心の強張りをほぐすどころか腹の、胃腸の強張りまで・・・。

 スゴイな普洱茶!!!











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カバ男様


 かばおは、歌手。

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 オレの名前は「かばおとこ」()!!










日本語 NOw 2


 やってないやってない!
 オレやってないすホントに!!

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 とあるマンションのエレベーター。引っ越し?か何かで保護シートを閉て回してあるんだけど、
ギタギタんなってるさ。「さらんねえちゃますき」とか「でいずにーたのしかった」とか書き殴ってあった。

 警告は読みやすく全部平仮名で、子供の目線に合わせて低く貼ってある。
 こりゃ早々に犯人特定、今頃はお尻ぺんぺんの刑だろうな~()









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 んへ、へへへへ










全スマホ


 電車のホームから目を細めてビルの谷間を覗いたら、いい感じの青空に白い雲がふわんふわんと浮いていた。ちょっぴり蒸すけど、さっきから気持ちの良い風も吹き渡っている。

 夏だなあ。今年もまた夏が
やって来るんだなぁ。


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 朝も早よから家を出て、南へ向かう電車が来るのを待っている。

 さっき固定資産税を払い込んだが、また今年も上がってた。この万年不景気の時代、一体全体どうゆうことだ?何が起きている?そのショックでか、自分の指まで写していたのに気も付かなかった。

 クッソー。もう昼飯は尾上町交差点の中国料理「紅花」で牛麺と焼売でも食い散らかさないことにゃ収まらん。で食い終わったら隣のガストでピッツァ・マルゲリータも食って、帰りに馬車道の「泉平」でお稲荷さん買って、五番街の「横濱珈琲店」でアイスコーヒー飲んで、そんで、そんで・・・。

 それで何しに
横濱まで行くんだっけ。ははは









エスカレーターのある風景


 なんとなく撮っただけの一枚。二年ぐらい前かな。

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 これはTWRりんかい線の「東京テレポート」という駅から地上へ出るエスカレーターを、改札階から撮ったところ。古い映画『コヤニスカッティ』など思い出しつつ、メタリックな光沢がちょっと面白いかなとパチりんこ。

 つい最近まで地上にはヴィーナスフォートや大観覧車なんかがあって賑わっていたが、今はもうない。てか台場のあの場所、色々と大人の事情がゲロゲロ絡み合う中、よくここまで続いたよって感じかな。
 禍福は糾える縄の如し、みたいなね()






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 地元の喫茶店、朝。
 開けたての喫茶店で冷たいコーヒーなんぞずるずる啜り、ブースん中でピースすぱすぱキメている。

 ストロー使わないのか?いやいやいや、飲んでる内にフヤケたりコーヒーの風味が変わったりするあの紙ストローってヤツ、苦手なんで。紙じゃなくてもストローってムセるからちょっとアレなんだよな。ムセない?
 なので、飲み切る直前にグラスの中で氷が崩れ、残っていたコーヒーが胸にだばだばはお約束()

 次はどこまで行きますか。










十三香粉


 まさか東京で手に入るとは思っていなかった王守義牌の十三香粉。
「カバちゃん、お香焚いたの?」
これ外から帰って来たマヒロが眉間にシワ寄せて聞くやつだ。ははは

 十三香粉というのは中国のオールスパイスっつうか、色んな香味スパイスがこれでもかってぐらい混ざっている、簡易香味料。フランス風に言うならエルブドシノワ()?かな。当然ブレンダーが存在しており、昔から十三香の配合は各厨房で秘中の秘とされていたらしい。今じゃご覧の通りあっけらかんと®マークが付いていて笑えるが。
 薬膳っぽさもあるけど、王氏の十三香は使う料理によって古くなった墨のような香も聞こえてくるのが、得も言われぬ懐かしさなのである。

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 干し海老とシイタケと十三香で、今や黑白小厨房の中には横濱中華街か臺灣の裏通りかっつう匂いが充満している。

 もう最高じゃん。














広小路にて


 白い歯で笑うキミが、すき。
 なんつって。

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 直球だぜ()!!














Blackwater Rising 2


 福島から届いたばかりのアスパラガス。穂先だけを切って揃える。
 たっぷりの湯が沸き立ったところへ一気に投入。5秒数えてザルに上げ、すぐに用意していた冷水へ。
 しかし熱い野菜は急速に水を吸うので、ぐるっとかき回したら再度ザルに上げ、タオルで水を切る。外は生、中も八分生で茹で上がった。ひと噛みで壊れる先端の食感、茎の甘み、どちらもよく出ている。
 あとは白無地の皿に慎重に盛り付けるだけ。こんな感じに組み上げておけば、時間が経っても水っぽくならないのである。

 その後適当にマヨネーズをベースにしたソースなんぞを作り、穂先しか食わないマヒロ専用の一皿、でっちあげ()

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 料理なんて儚いものさ。
 この盛り付けも腹を空かせたアイツの一撃で木っ端微塵。ゴジラの尻尾で薙ぎ払われた東京の町並みのように、皿の上は一瞬で惨憺たる有様に変わってしまった。しかも感想はナシ。
 それでこそキミだよ、マヒロ。ははは





黑白小厨房


 夏を乗り越す酸っぱいスープ、黑白小厨房の『太極酸辣濃湯』は如何?

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 鍋に湯を沸かし、鶏ガラスープの素、魚粉、塩、オイスターソース、醤油、米酢、味醂、料理酒、サラダ油を気分で投入。ひと煮立ちさせたら弱火にし、味をみて大体よければすぐに火勢を強めながら水溶き片栗粉でとろみを付け、溶き卵(一個分)をサッと回しかけて火を落とす。菜箸で鍋の中をクルリんと一回り掻いたら用意の丼にだばだばだばだばっと流し込んで出来上がり。このスープ作りは速さが大切。
 暑い日にガフガフ啜り、優しい酸味と辛さでしっかりと汗かいて交感神経を整えよう。

 途中に使う香辛料は白胡椒、黒胡椒(細目)、五香粉(既製品)、山椒、小茴香、アニスシード、ドライガーリック(粉末)。
 彩りに固茹でしたブロッコリー、一味唐辛子、種入り辣油、掌の上でつまんで擂り潰した白胡麻。香付けに微量のごま油。
 今回は練習でチャッチャと作ったが、夜マヒロに出す時は塩茹でした木綿豆腐の細切りとかトマト、木耳などの具材で器の中を賑やかそうか。

 食が細いくせに嫌いなものには手も付けない客(マヒロ)を相手に、黑白小厨房(ウチの台所)の老闆
(カバ男)は苦労している。














視線惱亂


 混んでる電車で座っていると、目のやり場に困る。

 視線を上げれば向かいのシートに座ってる誰かと目が合って気まずいし、下ばかり見ていると純情なおっさんみたいでイヤだ。中吊り広告だってそうそう長くも見てらんない。地下鉄なんかだと窓の外は常時真っ暗だから、他に見る所もなくて目が泳ぎっぱなし。これなんの罰ゲームだよって感じになってくる。

 通勤ラッシュの山手線なんかでは屡々、座っていてフト顔を上げるとスーツ着た女性が目の前に仁王立ちしていたりする。すると互いの位置関係から厭でもイイ歳したおっさんがオンナの下腹部をガン見するって絵面になるので、恥ずかしすぎていたたまれない。
 夏場になると汗だくのおっさんが散歩中のパグみたいにフウフウ言いながらつり革にブラ下がっていたりもする。すると突然出口に向かってクルッと後ろ向きになり、厭でもその汗ばんだ尻に視線がぶっ刺さって、咄嗟に目え食いしばる。イヤだー!

 なので、昼間の長閑でガラガラな電車が私は好きだ。

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 などとアラレもないことを考えながらつい手が滑ってシャッターを押してしまったこの一枚。
 ははは、三人ともさりげなく直視を避けてるね。






 でも電車さえ降りちまえば・・。

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 目からビーーーーーーーーム!!